第2章 運命の助奏
「可憐な花を見付けたんだ」
一同「花…?」
可憐だけど何処か凛々しくて真っ直ぐな花。
「名前も知らない花なんだけどね。どうやら早朝にしか発見出来ない花なんだ」
怪訝な表情をする皆を他所にネクタイを締める。
いつかその花の名前を知りたい。出来たらもっと近付いてみたい………けど、接点なんて無いしタイミングも分からない。
「ほら、急がないとHRに遅刻するよ」
※※※
『えーと…今日の晩ご飯はー…』
カレーにするかハンバーグにするか。それともオムライスにするか。あー…でもオムライスだと1個1個作らなきゃいけないから面倒だな…オムライスは学校が休みの日にしよう。
『確かまだ冷蔵庫にシチューのルゥが残ってたっけ?』
んじゃあ今日はシチューだな。スーパーで買うのは人参、馬鈴薯、鶏肉………と指折り数えながら乗り換えの電車を待ってると少し遅れ気味で電車が到着する。
『うわ、今日学生多いな』
いつものこの時間帯は割と少ないのに。何だ何だ?学校整備とかで一斉下校か何かか?どうでもいいけど学生鬱陶しい。いや、アタシも学生なんだけど。
※※※
「まさか急なコート整備が入るとは」
「定期的なメンテナンスは必要だからな」
「まぁいいんじゃね?たまにはこーやって皆で別の場所にテニスしに行くのも有りだって」
「ふふ、そうだね」
「だろい?」
と皆で電車に乗って広いテニスコートがある場所まで向かっていた。すると車両の端っこで怒鳴り声が響く。
「あ?何だよテメェ。文句あんのかクソガキ」
『あるね!大有りよ!その荷物邪魔なの。妊婦さんが座れないじゃない!そもそも優先座席ってのはアンタ達みたいな健康優良児が座る場所じゃ無いでしょ』
「はあ?そんなデカい腹で電車に乗るのが悪いんだろ?」
『…はっ!アンタ達モテないでしょ』
「「「んだとぉ!?」」」
『レディに優しく出来ない男なんて男じゃないって言ってんのよ。クズね。ゴミだわ』
「テメェ次の駅で降りろよ」
『上等よ。相手になるわ』
どうやら揉めてるのは数人の男性と1人の女性らしいけど、生憎人が多くて此処からじゃ見えないし止めにも行けない。妊婦さんがどうとか聞こえたけど…まさか妊婦さんが喧嘩してるんじゃ…