第12章 隠れた受難曲
まぁ確かに幸村君の妹さんとアタシの妹が友達だとは思わないし、夏葉がアタシの妹だなんて分かるわけ無いか。並んで見ると似て無くはないんだけどね。まぁキョーダイってそんなもの。
「ですが6人兄弟とは実に凄いですね」
『そう?』
「一番下はいくつなのだ?」
『3歳かな』
「それだけ多いと………長女だと大変だろう」
『慣れてるから平気』
とは言ったものの…なんでアタシがって思う事も多々あるけど。そんな事は絶対口に出せない。
『ジュース…切原君の分しか買ってこなかったんだけど…皆居る事だし皆の分のジュースも買ってくるよ』
「では私もお手伝いしましょう」
「俺もー!荷物持ちするぜぃ!………ジャッカルが!」
「俺かよ!」
※※※
智桜姫と柳生と丸井とジャッカルが病室を出て直ぐ。聖菜は夏葉ちゃんに詰め寄る。
「夏葉のお姉ちゃんって智桜姫さんだったの!?」
「え?うん。お姉ちゃんの事知ってるの?」
「1回会った事あるだけ…なんだけど………」
「じゃあ苗字で気付こうよ」
ご最もな突っ込みだと思う。
「苗字知らなかったもん…」
知らなかったんだ………我が妹ながら抜けてるなぁ。
「いいなぁ智桜姫さんがお姉さんとか羨ましい」
「そう…かな?東京の学校にいた時も皆羨ましいって言ってたけど………喧嘩強いし、お姉ちゃん怒ると凄く怖いよ」
「そんな事無いよ!凄く綺麗で凄く美人で凄く可愛くて、とっても優しいじゃない。緊張しちゃって喋れなくなっちゃう」
あぁなるほど。聖菜は智桜姫に憧れてるのか。
「でも意外だったな」
「何が?」
「お兄さん達テニス部なんですよね?」
一同「?」
「部活やるって言った時てっきりまた剣道はじめるのかなーって思ってたらテニス部のマネージャーなんだもん。実亞加さんのお手伝いしてる時はテニス部なんて面倒臭くてやってられないって言ってたのに」
剣道…してたんだ。だからか…あんなにも前向きで精神的にも強いのは。
「やはりか…記憶違いでは無かったようだ」
「真田、知ってたの?」
「俺も剣道は嗜んでいる。噂で名前は聞いた事があったが実際見て想像と遥かに違ったがな」