第12章 隠れた受難曲
「邪魔するぞ、幸村」
「赤也の勉強はどうだ?」
「メールで伝えた通りだよ」
「先輩方お疲れ様っす!」
賑やかになる病室。個室で良かったと本当に思う。別に賑やかなのが悪い事では無いのだけれど。
「お兄ちゃん!」
「聖菜!?」
「夏葉も一緒!」
「受付に居たから一緒に連れてきた」
「…こんにちわ」
「ごめんね、妹が。迷惑かけてないかい?」
「いえ…楽しい、です」
少し照れた様に俯く姿が誰かと重なる。
「そう言えば桜音の姿が見えんが…」
「あぁ、彼女なら…「はい?」………?」
一同「え?」
「私、桜音ですけど?」
一同「………え!?」
-がらっ-
『あれ?皆来てたんだ?』
これまたタイミング良く彼女が戻ってくる。
※※※
『え、何?そのオバケでも見た様な顔は』
怪訝な表情をする智桜姫に何をどう説明しようかと考えていると夏葉ちゃんが智桜姫に飛び付く。
「お姉ちゃん!!!」
-どんっ-
『は!?え!?夏葉!?アンタどうしてここに…』
言葉を切らすと俺達の存在を一瞬忘れてたのか、バツが悪そうにこちらを見る。
『こほん…えー、ちょっと皆ごめん。ウチの子と話するわ』
一同「どうぞどうぞ」
「聖菜のお兄ちゃんのお見舞いに来たの」
『聖菜、ちゃん?』
とこっちを見ると聖菜は顔を真っ赤にして俺の後ろに隠れてしまう。
『あ!幸村君の妹さん!聖菜ちゃんって言うんだ?』
-こくこく-
そう言えば母さんが智桜姫に挨拶へ行った時に聖菜も付いて行ったみたいだから面識はあるのか。
『お兄さんのお見舞いかぁ…えらいね!』
「え…えっと…その…」
「こら聖菜!ちゃんと挨拶しないと駄目だろ?」
『いいのいいの。なるほど…夏葉と聖菜ちゃんはお友達なんだね』
「「うん!/はい!」」
あっさりと事情と流れを理解すると俺達を見回す。
『で?何で皆はそんな驚いた顔してたの?』
その小首を傾げる姿は殺人的だった。
※※※
『あっははははは!なぁんだそんな事?』
「そんな事って…そんな事じゃねぇだろぃ!」
「流石に吃驚したぜよ」
「姫先輩笑い過ぎっす…」