第7章 繋がりの装飾曲
『はい。キョーダイ多いので。特技はけんっ………じゃなくて大した事は出来ないけど強いて言うなら料理ですかね』
けん…って何を言おうとしたんだろう?でも言い直したって事は多分深入りはしない方が良さそうだ。
『皆さんの事は雑誌とか幸村君伝に聞いてるので存じてます』
「プリッ」
「なんだい?仁王」
「何も無いきに」
『部活は…受験生になるからやるつもりは無いですね』
「今はやってないんすか?」
『あー………と…し、親友の手伝いをたまにしてるから』
この違和感、前にもあった気がする。
「氷帝のマネージャーか。宮上 実亞加、現在2年生。去年の夏の試合時のデータでは身長は144cm体重35kg。なお跡部を好い『わぁああああ!!!』………?」
『ストップストップ!そこまで言わなくていいですから!って何でそんなに詳しいんですか!』
「データ収集は基本だ」
気の所為、かな。でも皆と仲良くやれそうで良かった。
………少しもやっとするけど。
※※※
『ふぇぇええええ!!!智桜姫ーーー!!!』
まだ寒さが残る3月下旬。今日で2年を終業し、氷帝の制服に身を包むのは今日で最後の日。ブレザーは実亞加の涙と鼻水で少ししっとりしている。
『何かあったら飛んでくからぁあ…』
『ふふふ、ありがと』
「アーン?いつまでも泣いてんじゃねぇよ。一生会えなくなる訳じゃねぇだろ」
『だってぇ…』
「何かあったら言えよ」
『…、結構よ。ナルシストに助けてもらうヘマはしない』
「んな!可愛くねぇ」
『実亞加に何かあったら許さないから』
「………おう」
跡部も何となく分かってるハズ。自分の心が動きつつあるのは。だって実亞加、すっごく努力してたもの。
「せや、第2ボタンくれへん?」
『ちょっとゆーし!抜け駆け無しでしょ』
『いやいやいや、卒業式かっ!』
「えぇ突っ込みやで」
このやり取りの突っ込みが出来なくなるのは少し寂しい気がする。
「変な男に引っ掛かったらアカンで?」
『はいはい』
「男作ったらアカンよって」
『オカンかっ!』
「ちゃうで。姫さんをオトすのは俺って決まってんねん」
『はいはい』