第7章 繋がりの装飾曲
「あれは間違いなく桜音さんだったっす!」
編入試験を終えて。一応報告しとこうかなって思って病院へ行けば幸村君の病室から声が聞こえて思わず足を止める。いやいや、丸聞こえだから。ってゆーかいつの間に見かけられてたんだろうか。こっちは全然気付かなかったや。
『………』
足を進めようとしたところで、また足を止める。報告なんかしたところでどうでもいいだろうし、寧ろだから何?って感じにならないだろうか。うーん…でも仲良くしてもらってる身だから報告するだけしとくか。
『よし!』
-コンコン-
『失礼します』
※※※
一同「………」
今しがた噂になっていた本人が現れて皆が硬直する。そんな事はお構いなく彼女はニコニコと笑っていた。あれ………日曜日なのに制服…
『会話、廊下まで聞こえてましたよ』
「マジっすか!?」
『ふふふ、でも見掛けたなら声かけてくれれば良かったのに』
「あははー…部活中だったんで…抜けると副部長が怖いで…」
『………?』
「居たのマジかよ!?」
「じゃから言うたじゃろ」
「ペテン師と赤也の言う事だもんなぁ」
あ、彼女が此処にいる事で華やかになった。
「何故立海に?」
『編入試験を受けに』
一同「編入試験!?」
『あ、そう言えばちゃんとした自己紹介ってしてませんでしたよね』
思い出した様に言うと、背筋を整えて綺麗なお辞儀をする。
『氷帝学園中等部2年、桜音 智桜姫です。愛称は姫。今年の春から立海大附属中学の3年です。どうぞ仲良くして下さい』
と綺麗に微笑んだ。
※※※
「普段何て呼ばれてるんすか?姫先輩って呼んでいいっすか!?趣味とか特技は!?あ、俺は立海テニス部1年の切原赤也っす!部活とかは!?何か入る予定っすか!?」
『えっと………』
一同「赤也落ち着け」
後輩の質問攻めにタジタジになる桜音さん。だけど一つ一つ丁寧に答えていく。
『あまり名字で呼ぶ人はいない、かな?』
「確かに名前とか愛称の方が呼びやすいな」
『趣味は…そうだなぁ………子供と遊ぶ事、かな?』
一同「子供?」