第3章 悪夢の挽歌
-キーンコーンカーンコーン-
『予鈴鳴っちゃったね。教室戻ろっか』
『うん!次の授業は何だっけ?』
『次は数学。小テストあるよ』
『げっ…』
「あちゃー…実亞加は補習確定やな。部活出れんのちゃう」
『それな!』
遅れれば遅れる程…言うのが辛くなる。
※※※
「うむ、良い買い物が出来た」
「俺もっす!この靴紐欲しかったんすよ!試合の時に付けるっす!」
「幸村君は何買い物したんだ?」
「………っ」
-くらっ-
一同「幸村(君)?」
「あ…あぁ………俺はグリップテープを…」
-ばたんっ-
一同「………え?」
※※※
実亞加の数学手伝ってたらすっかり遅くなっちゃったな。保育園の迎えはお母さんに頼んだし、少しくらい晩御飯遅くなっても大丈夫かな。
-ざわっ-
『?』
「ねぇ、ちょっと今の見た?」
「ヤバくない?人倒れたって」
人が倒れた?しかも今!?老人かな?寒いし大丈夫だろうか?人手足りてたりするのかな?
と思いつつ家の事で頭がいっぱいで早く発車して欲しいと思いつつもやっぱり気になって隙間から顔を覗かせると、見覚えのある学生服が目に入る。
『あれは…』
こないだの人達だ………凄くパニクってるけど一体誰が倒れて…
『………なっ!』
どうして彼が!?
-まもなく扉が閉まります。扉付近の方はー…
『おっ!降ります!すみません!通して下さい!!!』
※※※
「幸村っ!?おい幸村っ!?」
『馬鹿っ!何してんの!!!』
一同「!?」
『倒れてる人をそんなに激しく揺すったら駄目!』
「お前は…!」
『どいて!』
パニックで何も出来ない彼等を押し退けて彼に近付く。
うつ伏せを仰向けて心臓と呼吸を確認する。
『心臓は動いてる…でも呼吸が浅い…』
呼吸器官を圧迫しない様に地面と首の間に自分の脚を入れて制服のネクタイを緩める。駄目だ。ここまでしか分からない。後は寒くない様にコートをかけて………
『っ何してるのアンタ達!早く救急車呼んで!!彼の保護者にも連絡!!』
一同「は…はい!」
『馬鹿!連絡するのは2人だけでいい!!全員が行くな阿呆!!残った人はコート貸して』