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君色Days【庭球王子】

第22章 熱帯夜の再演


どうして?とか、なんで?とか、どう言う意味?とか疑問が沢山出て来るけど。
どうしてか分からないけど、その言葉がすっごく嬉しくて。
未熟で臆病で子供なアタシには、その言葉の意味を理解出来ないくせに嬉しさが圧倒的に勝って。



-きゅっ…-



「!」

『…そっか!』



何て言葉を返したら良いかとか適切な言葉も分からなくて、繋がれた手にほんの少しだけ力を込めるくらいしか出来なかった。





※※※





別に母さんに言われたから、とかじゃないけど。
恋人繋ぎしてみたり、少し遠回しに"君の事意識してるんだよ"って攻めてみたつもりだけど………多分智桜姫は分かってない。
普段は頭の回転も早くて勘も良いのに色恋沙汰には少し疎いみたい。もう少し真っ直ぐ攻めた方が良さそうだなーとか考えあぐねながらチラリと智桜姫を見ると照れながらも嬉しそうに俺の隣を歩いてて。



「………ねぇ智桜姫」

『ん?』

「~っあー…なん、でもない…」

『もしかしてアタシ歩くの遅い?』

「いや…寧ろ早いくらいかな…(ボソッ」

『え?』



もう少し攻めてみようかなって思って声をかけたら可愛く首を傾げるから考えてた事が一気に吹き飛んだ。
この可愛さ破壊力が高い。ましてや今日は貴重な私服だし踵の高いサンダルのせいで目線も少し近いし薄らお化粧もしてるし。
こんなに翻弄されっ放しでちゃんと告(い)えるの不安になって来た。告(い)う前に理性飛んで手を出すなんて事だけは無い様にしないと………と言っても未遂案件が入院中と合宿中に何個かあったけど。



『まだ人多いね』

「そうだね」



そんな事を考えていたらいつの間にか神社に到着していて、まだ賑わってるのか人も多いし愉快な音楽も聞こえていた。





※※※





まだ人が多い中で探すのは骨が折れるし入れ違いにでもなったら困るから神社の出入口で妹達が出てくるのを待つ事にした。
そしてものの五分。



「もう!なんなのあのオジサン!」

「ひっどいオジサンだった!」



ぷりぷりしながら神社から出てきたのは紛れも無いアタシ達の可愛い妹で。



「二人共…随分とご機嫌ナナメだね」

『お祭り楽しくなかったの?』

「「お姉ちゃん!/お兄ちゃん!」」



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