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君色Days【庭球王子】

第20章 青春の八重奏


海岸沿いの道路にはよく単車が通る。海も山もあるからツーリングには最適なコースなのだろう。単車を休めて海を眺めてる人も多い。



『そろそろ皆も休憩してもらおっか』

「そうだね」



と飲み物の準備をする為にクーラーボックスを開けると想像以上に減ってた飲み物。この暑さだし当たり前か。買い足さなきゃと思って靴を持って立ち上がる。



「あ、手伝うよ」



そう言って幸村君は皆に声をかけて一緒に砂浜を歩く。確かあの信号を渡った先に小さなスーパーがあったハズだ。





※※※





砂浜を抜けて道路に出てアスファルトに足を付くと火傷しそうなくらい暑くて。智桜姫に至っては"あちちっ"と小さな悲鳴を上げて数回飛び跳ねた後に足に付いた砂をはらって靴を履く。そんな些細な言動すら可愛くて仕方が無い。



『御免ね手伝わせて』

「俺がやりたくてやってるだけだから」

『有難う』



と照れ臭そうに笑いながら歩く智桜姫の手を引く。



『!?』



-ブロロロロロロロ…-



物凄いスピードで目の前を通り過ぎるバイク。



「大丈夫?」

『あ…ありがと…』

「待って…待っておくれー!」

「『?』」

「鞄…!返しておくれー!」



フラフラした足取りで走ってくるお婆さんに智桜姫が駆け寄る。近くでバイクを休めてたお爺さんも何事かと駆け寄ってくる。



『大丈夫ですか?』

「鞄…鞄取られてしまって…」



俗に言うひったくりだろうか。



「ぬあにぃ!?ひったくりじゃとぉ!?おのれ!儂がとっ捕まえて…」



-グキッ-



「があぁ!?腰がァ…」

「だっ…大丈夫ですか?」

「あの鞄の中には娘夫婦から貰った大事な携帯が入ってるのに…」

「儂がこんな状態じゃ無かったらとっ捕まえてやるのに…」

『………はぁ…』



智桜姫は面倒臭そうに溜息を吐くとお爺さんのバイクに近付く。



『スポーツタイプか。イキった爺さんやな…お爺さん鍵』

「「「へ?」」」

『アタシが代わりに取り返すから!早く!』

「お…おぅ…」

『幸村君、乗って』

「えっ!?」

『アタシ背ぇ小さいから足届かない』



そう言いながらバイクのナンバープレートにタオルを巻いてハンドルに掛けてあったヘルメットを俺の頭に被せる。
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