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君色Days【庭球王子】

第20章 青春の八重奏


朝の目覚めは嘗て無い程に良く、とてもいい夢を見てた気がする。これもきっと好きな人のおやすみを聞いて寝たからだろうか。もしそうだとすると俺も単純だなって考えながら洗面台で顔を洗ってからリビングに向かうと台所から良い匂いが漂って来る。



「………」



台所に顔を覗かせると好きな人の後姿。短い髪の毛を後頭部に結わえて包丁とまな板でリズムを刻む。



『あ!幸村君おはよう』



寝起き一発目に好きな人のおはようの笑顔。え、ちょっと待って。これって凄く贅沢なんじゃ…



『早いね。何か飲む?』

「………」

『幸村君?』

「あ…御免。おはよう智桜姫。じゃあ冷たいお茶を」

『はーい』



と朝食の準備をする手を止めてグラスに氷と麦茶を注ぐ。



「そう言えば皆は…」

『真田君は一時間くらい前に起きて素振りして来るーって出て行ったかな。他の皆はまだ寝てるんじゃない?まだ6時前だし』



一時間くらい前…多分昨夜一番遅く寝たのは智桜姫。あの早起きな真田より早く起きてたみたいだけど彼女はちゃんと寝たんだろうか?



『ん?』

「あ、いや…ちゃんと寝たのかなって」

『うん、勿論だよ』





※※※





合宿二日目の午前中のトレーニングは海の砂浜でひたすら走り込み。足腰の強化を目的としたもの。と言ってもただ走り込むだけじゃつまらないから何らかの負荷をかけてはいるけども。



『あっつー…』

「大丈夫?」

『まぁ皆みたいに運動はしてないから』



容赦無く照り付ける太陽は、そろそろ時間的にてっぺんに登りつつあるから日陰も無くなってきた。アレルギーあるから長ジャーに薄手の長袖のパーカーを着てフードまで着用。海だから風はあるものの生温くてちっとも涼めやしないどころかひたすら汗が滲み出て来る。
隣に居る幸村君も汗だくでパラソルの小さな日陰で休んでる。割と皆と同じメニューをこなしているものの、まだ病み上がりだからマネージャーとしては体調に配慮しなきゃいけないから皆よりは多めの休憩をとらせている。



『こんな中で遊ぶ人は頭おかしいと思うんだよね』



皆が練習してるスペースの少し離れた所にはビーチゾーン。海の家も何件かあって活気づいてるし、砂浜や海で遊ぶ皆はキャッキャウフフしてて正直暑苦しい。
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