イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第6章 消せない熱 後編〈徳川家康〉
「……っ」
「それで?……結果的には良かったのかもしれないけど、あんなに頑なだった理由は何?」
「え?」
「さっさと敬語を止めて、呼び捨てにしていれば……俺もあんなに意地悪しなかった。……全部話して。今更、だんまりは無しだよ」
「……うん。……でも、凄く信じられない話なの。だから……」
「話して。……俺は、どんな話でも信じるから」
「……ありがとう。実は私、本当は……」
そうしては、家康に全てを話した。自分がこの時代の人間ではない事、共にタイムスリップしてしまった現代人仲間の佐助の事。
そして、その佐助と一緒に、元の時代へ帰ろうとしていた事も―――……
家康は目を見開いて、ぐっと息を詰まらせた。
確かに、違う時代から来た事等、普通なら到底信じられない話だ。だが、今の家康にとって問題なのはそこじゃない。
胸が痛いくらい苦しい。ついさっきまで、温かな気持ちで満たされていたのに……
は、500年先の世に、帰るつもりなのか?
そう訊きたいのに、訊くのが恐い。
もし帰ると言われたら、自分は一体どうしたらいい?
どうしたら―――……
そこまで考えて、家康は己の弱さを振り切るように瞳を閉じた。ゆっくりと上体を起こし、静かに大きく息を吐く。