イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第6章 消せない熱 後編〈徳川家康〉
「やっ……!だ、め……こんなのっ……」
「ねぇ、さっきの茶屋での話……覚えてるよね?」
「……っ……敬語や、呼び捨ての……?」
「俺もついイラッとして此処へ連れて来ちゃったけど、今からでも、俺の言った事を呑むなら……これ以上、何もしないよ」
「え……?」
「……さっきから、ずっと泣きそうな顔してる。別に俺は、を泣かせたい訳じゃない」
家康の言い分に、益々は混乱し、戸惑った。それに、押さえ付けられてはいるけれど、力が入っていたのは最初だけ。
今の話が始まってからは、軽く掴まれているだけだった。
いつでも払い除けられる。
―――なのに、どうして?
が1番戸惑っているのは、家康の手を本気で払い除ける事が出来ない、自分自身にだった。
が黙っていると、家康は押さえ付けていた手を離し、そのままの右手をとって、手の甲に優しく口付けを落とした。
の肩が微かに揺れる。
だが、手の甲から伝わってくる家康の熱を、心地良いとさえ感じてしまっている自分に気付く。
「……家康さんは、どうして……そんなに、拘るんですか?」
「むしろ、拘ってるのはじゃない?……この状況で、まだ敬語を使うなんてどうかしてる。泣きそうなくらい、嫌なんでしょ?」