イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第6章 消せない熱 後編〈徳川家康〉
―――パタン。
が顔を赤くしながら言い返すものの、家康はそのまま何も言わずに襖を閉めた。
(いつまで意地悪続行するつもりなんだろう……家康さんて、結構執念深いな。そんなに名前で呼んで欲しかったの?)
そこまで考えて、は考えるのを止めた。
これ以上考えてしまったら、いけない気がしたのだ。気付いてはいけない、何かに、気付いてしまいそうで……
少しだけ、恐いと思った。
そうして着替えを済ませ、は隣の部屋の前に立つ。
「家康さん、入って大丈夫ですか?」
そう訊くと、中から「早く入って」と返ってきて、は何も知らずに、家康の居る部屋へと入る。
まさかここが、『色茶屋』とも知らずに―――……
「え?」
隣の部屋に入って、僅か数秒で事が起きた。の頭は全く状況を理解する事が出来ず、突然視界に入ってきた天井をぽかんと見つめる。
そして、次に視界に飛び込んできたのは、あの熱っぽい瞳を宿した家康の顔だった。
「家康さん……?」
「あんたって本当に馬鹿で世間知らずで能天気だね。ここが何処か、まだ分からない?」
「ここが何処かって……」