イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第6章 消せない熱 後編〈徳川家康〉
「これ、一度お城に帰った方が良くないですか?」
「……それは駄目」
「駄目?どうして……」
「こっち、来て」
「へ?あ、ちょっ……!」
「いいから!……こっち」
「……っ?」
家康に手を繋がれて、そのまま引っ張られるように、雨の降る城下町を歩いていく。
そして、ある店の前で、家康が立ち止まった。一見、茶屋のように見えるが、店の中は薄暗く、ほんのりと甘い香の匂いが立ち籠めている。
「……家康さん、ここって何のお店ですか?」
「後で説明するから、あんたはちょっと待ってて」
「はい…」
言われるがままに店の中を見回しながら待っていると、店の者と何か話した家康が戻ってきた。
そして、「来て」と言われ、訝しみながらも後をついて行く。
奥の座敷に入り、畳に置いてある着物に目が止まった。
「とりあえず、これに着替えて。……着物、びしょ濡れでしょ」
「は、はい。あの、ここって……着物屋さんか何かですか?」
の疑問に、家康はふっと微笑を浮かべて「そんなとこ」と答えた。
「俺は隣の部屋で着替えるから、着替え終わったら来て。それと、濡れた着物はこの籠に入れて」
「はい!」
「じゃ、着替え覗かないでね」
「のっ覗くわけないじゃないですか!!」