イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第5章 消せない熱 前編〈徳川家康〉
「ああ、まだ意地悪続行だよ。あんたが美味しそうに食べる間抜け面を見るのも、悪くない」
「ま、間抜け面って......」
「そうだな。いい加減、その敬語を止めたら意地悪を止めてもいいよ」
「え?」
「あと……さん付けも止めて、家康って呼んで」
「……っ」
家康の瞳が、静かに熱を帯びる。
もその瞳に気付いて、身体の内側にじわりと熱が広がっていく。
視線を逸らせないまま、「急に、どうしたんですか?」と訊くと、家康は左手で頬杖をついて、微かに眉根を寄せた。
「まだ敬語って事は、意地悪されたいんだね。……これ以上は知らないよ。どうなっても。」
「……どうなってもって、何か怒ってます?」
「ほら、また」
カシャンと匙を器に置いて、家康の瞳は益々色濃く、獰猛になっていく。
「早く食べなよ。……この後、もう一ヶ所寄る処が出来たから」
「は、はい……!」