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イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18

第36章 あんたが望むなら 後編 <徳川家康>




合わさった刀が音を響かせながら弾かれて、お互いに後方へと距離を取る。
睨み合いつつ、ジリジリと間合いを詰める家康。
一方の謙信は、「今の一撃、なかなかに良かったぞ。面白い。お前の首を信長への手土産にしてくれる」と口元に弧を描き、愉しそうに家康の出方を待っているようだ。

家康は謙信のすぐ近くに居るに、一瞬チラリと視線を向けると、もその意味を読み取り、静かにその場を離れようと試みる。

だが……


「女。少しでも動けば斬る。そこで大人しくしていろ」


こちらを見てもいないのに、気配で分かってしまったのだろう。

謙信にそう言われてしまい、その場から逃げる事が出来なくなってしまう。
その様子に家康は小さく舌打ちした。



(やっぱり相手はあの軍神。そう上手くはいかないか。でも……)


――を巻き込むわけにはいかない。


(早々に決着をつけてやる……っ)


もともとは武功を立てる為。
けれど、今の家康の頭の中は、を守る事でいっぱいだった。

身体の外へ追いやっていたモノが、猛烈な速さで家康の中に戻ってくる。


「……その子を引き留めて、どうする気?」

「勝負中に他人の心配か?」

「いいから答えろ。……まさか戦に巻き込むつもり?」

「……家臣から、信長には寵愛する姫が居ると聞いている。この女の事であろう?ならば全くの無関係でもあるまい。こんな戦場まで連れてきたくらいだ。信長と勝負する為の餌になってもらう。」


謙信の答えを聞き、家康は自分の胸の内で不愉快極まりない、どす黒いものが沸々と沸き上がってくるのを感じた。


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