イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第36章 あんたが望むなら 後編 <徳川家康>
(――キリがないっ)
早く、上杉謙信に追い付かないと……
潜む敵兵達を次々と倒して、先へ先へと進む家康。
そして、もうまもなく知る事になる。
ずっと気付かないフリをしていた、己の熱情に。
………………
…………
「……戦場に、女?しかもお前、前に一度どこかで……」
「っ!」
織田軍後方支援の陣営から少し離れた場所で、と上杉謙信は出会ってしまった。
普段の謙信ならば、女の事など気にせずに、織田軍本陣へと向かっていた筈だが……
家臣からの報告で、信長には寵愛する姫が居るらしいと聞いていた。
「普通の女に見えるが、お前の事か?信長を誘い出す餌に使えるやもしれんな」
「やっ……」
華麗に馬から降りた謙信に腕を掴まれそうになった、その瞬間。
駆けてくる馬の足音を聞いたと思ったら、直ぐ様頭上に影が出来た。
―――ガキンッ!!
鳴り響く、刀と刀がぶつかり合う金属音。
決死の思いで追いかけてきた家康が、馬の背を蹴って跳び、謙信に斬りかかったのだ。
体重を乗せた重たい一撃を受け止めつつ、謙信の見開いた双眸に嬉々とした色が走り抜ける。
「ほう、徳川家康か……!」
「上杉謙信……っ!」