イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第36章 あんたが望むなら 後編 <徳川家康>
「上杉軍は火薬の調合に秀で、鉄砲隊が優れている。……配置を見誤った私の失態です。」
「そんな!三成くんのせいじゃ……」
「いえ、私のせいなのです。ですが、だからこそ、負けられない。絶対に勝たなければなりません。」
「……っ」
普段、天使のように和やかに優しく笑う三成からは、到底想像も出来ない、戦国武将としての真剣な顔。真っ直ぐな瞳。
三成の配置は、間違って等いなかった。けれど――……
十分な距離を取っていたにも関わらず、敵の銃弾は飛距離を伸ばし、織田軍の兵達に届いてしまったのだ。
はとても言い表せない何かで、胸がいっぱいになる。
戦の意味、武将の覚悟。
その先にある、未だ見えない未来を掴む為――…
それぞれが自らの信念の為に。
(私には、そんなもの無い。無いけど……)
再び運び込まれてくる怪我人を見て、は急いで駆け寄り、手当てを始める。
(この人達には、守りたいものがある。だから……っ)
せめて大事なものを持っている人達は、助かったら良い。
そう、強く思った。