イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第36章 あんたが望むなら 後編 <徳川家康>
戦は数日続いたが、戦況は織田軍優勢のまま進み、ついに上杉武田軍の支城を落とす事に成功した。
政宗の隊と家康の隊は、支城に残る兵達を全て引きずり出し、誰も居なくなった支城へ火を放つ。
敵兵達が撤退していく中、肝心の上杉謙信が何処にも居ない事に気付き、家康と政宗は顔を見合わせる。
「あの戦狂いの軍神が居ないなんておかしい」
「甲斐の虎は真田の隊と撤退していくのを見ましたけど……政宗さん、もしかして上杉謙信は……」
「ああ。信長様の首を獲りに行ったのかもしれないな。敵の本陣に単身乗り込むなんざ、いかにも軍神のやりそうな事だ」
「……本陣へ急ぎます。後始末、任せましたよ!」
「あっ!おい、家康!……くそっ……失敗したらただじゃおかないからな!」
支城の後始末を政宗に任せた後、家康は数人の部下を引き連れて、本陣へと馬を急がせた。
道中には謙信の援護をする為か、何度も潜む敵兵に出会し、交戦を繰り返しながら……
――家康と政宗の予想通り、軍神・上杉謙信は信長の首を獲る為、単身本陣へ向かっていた。
途中まで追いかけてきていた部下達が、やがてやって来るであろう追っ手を予想し、残ってくれた事も理解して。
馬を走らせつつ、謙信は口角を上げる。
「例え支城を落とされようとも、戦では将の首を獲った者が勝つ。待っていろ、信長……!」
しかし、謙信の望みは叶わない。
信長に会う前に、別の人物に出逢ってしまったから――……