イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第36章 あんたが望むなら 後編 <徳川家康>
(全部が全部、上辺だけのものだったなんて思いたくない。それに、家康がしてきてくれた事を、無駄にしたくないから…)
また眠れなくなり、身体を壊してしまったら、家康の全てが無駄になる。
(別に……私の事を、好きじゃなくたっていい。少しも、想ってくれてなくてもいい。)
そう思いながら、懐から家康に貰った匂袋を取り出す。
そしていつの間にか、の瞳は涙で滲んでいた。
「……っ」
肩が小刻みに震える。
けれど、必死に声は我慢した。
誰にも、気付かれたくなかった。
誰にも、知られたくない。
その夜。
は恋しくて恋しくて堪らない、狂おしい程の家康への想いが、ただの依存ではないと思い知った。
初めて恋心だと気付き、その気持ちに蓋をする。
「こんな気持ち、抱かなければ……ちゃんと感謝出来るもの」
――早く早く、消えてしまえばいい。
そうして、は眠りについた。自分の気持ちが、明日には全て消えるように願いながら。