イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第35章 あんたが望むなら 前編〈徳川家康〉
その言葉に、家康が思わず口を開く。
しかし――……
それが裏目に出た。
「御館様!それは……っ」
「最近、顔色も良くなった事だしな。随分と甲斐甲斐しく世話をしたと聞いたぞ、家康。ご苦労だった。」
「――え……?」
ドクンドクンと重苦しいものが、の胸を締め付ける。
信長の言葉が、二人の時を止めた。
「何を驚いている?験担ぎの為に連れ帰った貴様が、身体を壊しては意味がないからな。家康に世話をするよう、命を出していたのだ」
「……信長様が……?」
「そうだ。感謝するがいい。家康、の体調管理はもういい。今後は戦の準備に集中しろ。」
「………」
「家康、返事はどうした」
「…………御意」
家康の間を置いた返事に、信長は一瞬思考を巡らせたが、すぐに切り替えてその場から立ち上がった。
「今日の軍議はこれにて終いだ。皆、早急に戦の準備へ取り掛かれ。」
「「はっ!!」」
そうして軍議はお開きとなった。
二人の心だけを、置き去りにして。
は、広間から他の武将達と共に去っていく家康の背中を、ただただ見つめる事しか出来なかった。
(……私の事、気にかけてくれてた訳じゃなかったんだ。命令だから……命令が無かったら、家康は……)