イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第35章 あんたが望むなら 前編〈徳川家康〉
家康の優しさと、夜空の星々に元気づけられて、は襖を閉め、再び褥へと横になった。
その夜は、もう悪夢を見なかった。
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…………
――二日後。
安土城、広間にて。
その日は信長暗殺を企てていた賊についての軍議が開かれていた。
も信長に呼ばれ、末席に座っている。
軍議では、暗殺の主犯が本願寺の法主・顕如であった事。探りの為に放っていた密偵が全て殺された事などが話されていた。
(……怖いとは思うけど、いまいちピンと来ない。皆、どんな気持ちで話してるんだろう)
それがその時の、の正直な気持ちだった。
人の生き死には、目の当たりにしなければなかなか実感など出来ないものだ。
軍議の内容は顕如の話から、甲斐の虎と越後の龍の話へと変わり、更に雲行きの怪しくなった話に、はぼんやりと『戦が始まるのかな…』と思っていた。
すると、突然話の矛先がへと向けられる。
「御館様、今なんと……?」
「聞こえなかったか?戦には、も連れていくと言ったのだ」
「……っ」
「は、この俺に幸運を呼び寄せる女。連れていくのは当然だろう。」