イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第35章 あんたが望むなら 前編〈徳川家康〉
家康がの元へ通い初めてから、数日が経った。
「仕事で今日はもう来れない」と言う日でさえ、家康は夜中にこっそりと様子を見に来ていて、毎夜魘されるを、そっと宥めていた。
「。……大丈夫だから。」
「……」
家康の声を聞くと、眠っている筈なのに、はスッと穏やかになる。
家康はどこか、昔の自分と重なるに、胸の内で苦笑した。
(……俺は同情しているのか?そんなもの、一番いらないモノなのに。どうしてこんなに……)
どうしてこんなに、気になるのか。
少しだけ、今の彼女の境遇が、昔の自分と似ているから。
何か苦しいモノを抱えているのが分かるから。
(……そんなの、俺やだけに限った事じゃない。どこにでも転がってる。)
同情も、一時の慰めも、無意味だ。
分かっているのに……
信長の命を守るだけなら、ここまでしなくてもいいのに。
「……どうして、放っとけないんだ」
三食ご飯を食べられるようになり、前より睡眠もとれるようになった。
故に、昼間は世話役としてまた働いている。
偶然見かける彼女は、いつも笑っている。その笑顔が、家康にはただただ眩しく見えた。
自分と確かに重なる彼女。
けれど、決定的に違うもの。