イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第35章 あんたが望むなら 前編〈徳川家康〉
家康は目を逸らしたまま、「うん。その方がいくらかマシ」と言う。
まるで素直じゃない言葉なのに、は嬉しくなった。
きっと今夜は、もう怖い夢は見ない。
そう思えた。
……………………………
………………
――翌日。
久しぶりにゆっくりと眠れたは、元気に世話役の仕事をこなし……てはいなかった。
は布団を被りつつ、チラリとすぐ傍に座っている家康を盗み見る。
「あんた、朝から働く気満々だったでしょ。駄目だよ。安土城に来てからずっとまともに眠れてなかったくせに。」
「で、でも昨日は……」
「少し眠れたからって、急に身体が全快するとでも思ってるの?頭悪そうだとは思ってたけど、本当に馬鹿だね」
「…………」
「とりあえず、ちゃんと三食ご飯が食べられるようなら少し動いてもいいよ。……だからって、無理して食べないでね。」
「はい……」
「……今日は仕事があるから、もう来れないけど、明日また様子見に来るから」
「い、忙しいのにすみません……」
「……敬語。止めてって言ったでしょ」
「あっ。え、えっと……ごめん…?」
「ん」
そう言って部屋から出て行こうとする家康に、は少しだけ上体を起こして「い、家康!」と、呼び止めた。