イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第35章 あんたが望むなら 前編〈徳川家康〉
静かになったをチラリと横目で見遣り、家康は少し強めに掴んでいた手を、きゅっと緩く握り直す。
(……冷たい手)
の手は、ひんやり冷たかった。
雑巾がけで水に触れていたせいもあるが、冷たくなっていたのは手だけではなかった。
程なくして部屋に着くなり、家康は懐から小さな小箱を取り出して、それをへと差し出す。
は、ますます訳が分からないといった顔で小首を傾げると、その様子に家康は「呆けてないで、早く受け取ってくれる?」とやや苛立ちながら口を開いた。
「あの……?」
「今日はもうさっさと休みなよ。夕餉も後で部屋に運ばせるから、取りに行かなくていい。」
「や、私、別に体調は何とも……」
「嘘つくなら、もっとマシな嘘つけば?」
「なっ……!私、嘘なんて!」
「言いたくないなら別にいいけど、そんな身体でチョロチョロされてる方が迷惑。……分かったら、今日はもう大人しくしてて。」
「……っ」
家康は小箱をに押し付け、受け取ったのを確認してから部屋を出て行った。
「……どうして……」
はしばらく考え込んでいたが、不意に渡された小箱が気になり、中を見てみると――……