イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第30章 極悪の何でも券 〈信玄Ver〉
もしもから
『何でも券』を貰ったら――……
【極悪の何でも券・信玄Ver】
『うーん……』
武田信玄は、珍しく悩んでいた。
愛しいから、特別な贈り物を貰ったからだ。
『何でも券、ね。純真無垢な姫は恐ろしいものを考えつくな』
せっかくだ、有効に使おう。
信玄はそう思って、頭を捻らせる。
『膝枕も良いし、添い寝も捨てがたい。二人で花見、甘味巡り、海へ行くのも楽しそうだ。』
との事を想い描き、そのどれもが魅力的で、信玄の心を浮き立たせる。
『と一緒なら、やりたいことが沢山あるなー。……沢山あり過ぎて、決められないなぁ』
そう言いながら、信玄は不意に立ち上がり、障子を開けた。優しい春の風が、さわさわと頬を撫でていく。
庭に視線を向けると、そこには桜を愛でるが居た。
その姿が眩しく見えて目を細めると、も信玄に気付き、『信玄様!』と呼びながら笑顔で手を振ってくる。
『……これだけでも、十分かもしれないな』
が笑顔で、自分の名を呼んでくれる。
それだけで、胸が痛いくらいに甘く痺れた。
『君がこうして、ずっと俺の傍に居てくれるなら……』
別に何も、してくれなくていい。
その笑顔を、
ずっとずっと独り占め出来るのなら……
『他には、何もいらないんだ』
終わり☆