イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第26章 極悪の何でも券 〈光秀Ver〉
(……瞑れと言ったのに……呆けた顔だ。だが……)
直接触れた訳でもないのに……
離れる事を、どこか名残惜しく感じている自分がいる。
そう解っていながら、光秀は自分の気持ちに、見ないふりをした。
顔を真っ赤に染めたの肩を、トンッと軽く押して、部屋の外へ追い出す。
『これで貸し借りは無しだ。……まだ明るい内に、城へ戻れ』
『みつ……』
『それに、こんなものが無くても、雑用は喜んでお前に渡そう。またな』
『……っ』
そこでピシャリと襖を閉じた。
少しの間を置いてから、の去っていく音が聞こえて、光秀は人知れず『ふぅ』と息を漏らす。
『……あそこまで無垢なのは、もはや罪だな』
黒く染まりきった自分が、求めてはいけない光。
光秀は自嘲気味に唇を歪ませた。
しかし、まもなくして思い知る事になる。
その小さな紙切れさえ棄てられず……
既に大きくなり過ぎて
もはや歯止めのきかない想いに
翻弄される事さえも、嬉しく思ってしまう己自身に。
終わり☆