イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第26章 極悪の何でも券 〈光秀Ver〉
もしもから
『何でも券』を貰ったら――……
【極悪の何でも券・光秀Ver】
『……正気か?』
そう訊いた光秀は、何でも券を差し出してきたを、まじまじと見つめた。
光秀にそう訊かれる前から、自身も、自分の危うさに気付いてはいた。けれど、引くに引けない理由があるのだ。
は焦ったような顔をしながら、しどろもどろに口を開く。
『私だって正気じゃないとは思いますけど……だからって、何のお礼もしないのは、もっと嫌なんです』
『礼?ああ、この間の……。何にしても、難儀な性格だな』
『う……』
『大方、何にも贈れる物を持っていないからと、コレを用意したのだろう?』
『そう……です。私には自分の身以外、何もありませんから。ソレ、良かったら使って下さい。雑用とか、何でもしますから』
『何でも?』
『……出来る範囲内でお願いします』
『ほう。俺相手に何でも、か。……本当に正気の沙汰とは思えないな』
『と、とにかく!そういう事ですから!それじゃ、私はこれで――』
『待て』
『え?』
その瞬間、ふわりと光秀がを抱き締めた。
そして、反射的に声を上げそうになるの口を、素早く右手で塞ぐ。
『むぐっ!』
『……いつまでも手元にあっては、後々面倒だからな。今使っておくとしよう。』
『……?』
『その大きな目を瞑れ』
『っ』
は息を飲んだ。
手の平越しに、光秀に口付けをされたから。