イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第17章 嫉妬は蜜の味〈徳川家康〉
政宗から貰った菓子は、現代でいうところの、練り切りのような感じだった。まだまだ砂糖が貴重な時代。それ故に甘みは少ないが、かえってそれが上品な味に感じられる。
見た目も丸みを帯びた、可愛らしい花の形をしていて、は感嘆の声を漏らした。
「政宗って本当に凄いね。和菓子職人さんになれるよ」
「わがし?……よく分からないけど、確かに政宗さんは職人になれそうだね。暇の使い方を間違えてる気がするけど」
「でも、好きな事があるのは良いこと……」
言いかけて、は突然口を噤んだ。
自分の躰に違和感を覚えたからだ。じわじわと躰の内側から、熱が拡がっていく感覚に、どうしたらいいか分からなくなる。
その様子に気付いて、隣に居た家康がの耳元にそっと顔を近付けて囁いた。
「どうかした?顔が真っ赤だよ?」
「……っ……な、何でもないから」
「ふぅん……何でもないんだ。ほら、早く残りの菓子も食べなよ。好きなんでしょ?」
「家康……?」
耳に直接流し込まれるように、吐息混じりで聞こえる家康の声音が、酷く甘く感じられて――……
躰の火照りと、だんだんと荒くなってくる自らの呼吸に戸惑いながら、は訝しんだ瞳で家康を見つめた。