イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第17章 嫉妬は蜜の味〈徳川家康〉
抑えられない苛立ちを抱えながら、早足で歩を進め、御殿への帰路に着く。
頭の中全部、でいっぱいにして――……
………………
………
すっかり秋が深まり、木々が鮮やかに色付いて、はらはらと葉が舞い落ちる。
その様を、は縁側に座って眺めていた。
(紅葉が凄く綺麗……現代に居たら、こんなにゆっくりと楽しむ機会なんてなかったかも)
勿論、現代でも紅葉は変わらず美しい。
だが、人々は目まぐるしく、朝から晩まで働き通しで、休日さえも、本当の意味で心休まる日々を送れていたのかどうか分からない。
この時代であっても、当然働くには働くが、常に時間に追われていた、あの頃とは全てが違って見える。
それは、恋でさえも。
「」
「!」
名を呼ばれて、は声のした方へ視線を向けた。
そこには、少し前にやっと想いを通じ合わせた愛しい恋人。家康の姿がある。
は嬉しくなって、花が咲いたような笑顔溢し、「おかえりなさい」と言葉を紡ぐ。
家康は、そんなに鼓動を高鳴らせながら、少しだけ目元を赤く染めて、「ただいま」と返事をした。