イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第17章 嫉妬は蜜の味〈徳川家康〉
そう言って菓子を手渡し、政宗はさっさと歩き去っていった。その場に残された家康は、受け取った菓子を苦々しげに見つめて佇んでいる。
御殿へ帰り、この菓子を渡せば、はとても喜ぶだろう。
その時の笑顔が政宗に向けられたものだと思うと、想像するだけで吐き気がしそうだった。
前は全然、気にしなかったのに。
……近頃の家康は、余裕がなくなっていた。誰も彼も、皆がを気に入っているようで、今回みたいな事が日常的に起きているからだ。
最初はそんな皆の事を、なんて物好きな連中だ、と思いながら見ていたが、今では自分も、その物好きな連中の一人。
むしろ、自分が一番重症だろう。
共に暮らす内に、の笑顔がどんどん眩しくなってきて、今では手離せなくなってしまっていた。
―――そう。二人は、今や恋仲なのだ。
けれども、それはまだ二人だけの秘密にしていた。
協定を結び、訳あって停戦状態の上杉・武田連合軍との戦。
今後の行く末が不確かな状況下では、まだ言わない方が良いと判断したのだ。
(分かってる。まだ言わない方がいいって言い出したのも俺なんだから……)
そう思いながらも、家康は無意識に唇を噛み締めていた。