イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第16章 熱情 後編〈石田三成〉
「どんだけ妬いてんだよ。……大丈夫だって、一線は越えてねーから。ああ、でも……」
トキジは身を乗り出し、三成に小声で囁く。
「……の唇、柔らかくて気持ち良かったぜ」
「っ!!」
「止めろ、三成!!」
危うく刀を抜きそうになる三成に、声を張り上げて止めたのは家康だった。
いつもの三成らしからぬ行動に、家康は驚きの色を隠せず、傍へと歩み寄る。
「……何言われたのか知らないけど、少し頭を冷やせ。賊の頭は、後で俺の隊が安土城の牢へ連れていく。お前は早く、部下共々を連れて、安土城へ帰れ!」
「……っ」
「もう一度同じ事を言わせるようなら、は俺が貰っていくから」
「家康様?……分かりました、お手を煩わせてしまって申し訳ありません。様、参りましょう」
「う、うん……」
三成と馬に乗り、はチラリと家康やトキジの方へ振り返るが、すぐに向き直って、そのまま三成とこの場を去っていった。
―――二人が去るのを確認してから、家康がジロリとトキジに冷たい視線を向ける。