イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第16章 熱情 後編〈石田三成〉
三成が馬を連れてくる迄の間に、トキジがへ声を掛ける。
「……お姫さん、さっきは疑って悪かったな」
「ううん。トキジさんにとって、一番大事なもの、もう分かってるから」
「…………」
「見てれば分かるよ。……それにね、私もそうなの」
「何?」
「私も皆が大事なの。安土城の皆が、私の仲間。たまについていけない時もあるけど……誰にも、欠けて欲しくない」
「そうか。……お姫さんにそう思われてる奴等は、幸せもんだな」
「様」
「!」
話していた二人の間に、馬を連れた三成が割って入って来た。トキジには見向きもせず、三成はそっとの手を取る。
「安土城へ帰りましょう。馬に乗って下さい」
「おい、まだ話の途中……」
「ゆっくりで大丈夫ですから」
「無視すんな」
「三成くん、あの……トキ…むぐっ!」
トキジと言おうとしたその口は、三成に制された。
三成の右手が、の口元を覆ってしまったのだ。
むぐむぐと何も話せずにいるを見て、トキジが笑いだす。