イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第16章 熱情 後編〈石田三成〉
―――刹那。
一瞬の出来事だった。
気が付くと、襖を蹴破った三成が、トキジを壁に叩き付け、その首元に白刃を突き立てていた。
突然の事に驚き、は声も出せず、口元を両手で覆う。
三成の、いつもは穏やかなその瞳も、瞳孔が開き、今はもう殺意しか映っていない。
トキジは首元に当てられた白刃を見て、ゴクッと喉を鳴らしたが、やがて口角を上げて笑みを浮かべた。
「……どうした?殺せよ。……を助けに来たんだろ?」
「…………な」
「あ?」
「その穢れた口で、様の名を呼ぶな……っ!」
「様?そういや、お前……あの時一緒に居たな。を拐った時に、役に立たなかった護衛くん?」
「……!」
―――この声。
思い出した。
あの時、様を殴った男……!
どす黒い感情が身体中を這いずり回り、吐きそうな程に気持ちが悪い。
三成は、自らの感情が赴くままに、トキジへの殺意を吐露した。
「信長様には生け捕れと言われましたが、やはり生かしておけません」
「…………」