イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第16章 熱情 後編〈石田三成〉
(……少し離れた位置に蔵もあるな。けれど、あまり目の届かない場所に人質を置くとも思えない。炊事場に近い離れの方が、可能性が……)
歩を進めながら考えている途中で、三成は微かに聞こえてくる話し声に気付いた。
三成の鼓動がドクンと跳ねる。
その話し声の主が、愛しくて堪らない恋人の声だと分かったからだ。
(様っ!……間違いない!やはり離れの方から……)
そっと距離を詰め、息を潜ませながら離れの襖に近付くと、中から男の動揺したような声が聞こえてくる。
『裏切り者がいる?……そんなこと、あるわけねーだろ』
『私、本当に聞いたんです!このままじゃ、トキジさん達全員が……っ』
(……部屋には様と、話している男だけなのだろうか?)
三成が腰の刀に手を添えながら、襖の破れている箇所まで進み、そっと中を覗こうと目を細めた瞬間……
『お姫さん、俺ァ悪い冗談は嫌いなんだ。……今すぐ口付けて、その口塞いでやる』