イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第16章 熱情 後編〈石田三成〉
「言えよ。何があった?」
二度目の問いかけに、は覚悟を決めた。
「信じてもらえないかもしれないけど、実はさっき―――……」
………………
………
――陽が傾き始めた夕暮れ時。
刺すような冷たい風が頬を撫でていくが、そんな寒さなど、今の三成は微塵も感じていなかった。
少ない時間でかき集めた情報から割り出した、賊の根城。
三成は少数精鋭の兵を率いて、が捕らわれている廃寺まで辿り着いていた。
音を立てずに、見張り二人を倒して、廃寺の中へ足を踏み入れる。
三成が息を潜ませながら、部下である兵達へ小声で指示を出す。
「様の奪還が最優先です。各自見つからないように、様を探し、見つけ次第すぐに私へ報告を。あと半刻程で家康様が別働隊を率い、乗り込んできます。それまでに、様を奪還し、賊の頭を押さえる。――良いですね?」
そうして、頷く部下達を確認した後、三成の合図で散開した。
腰を低くし、素早く廃寺の中を移動していく。境内をざっと見渡して、庫裡と廊下伝いに繋がっている離れを見つけ、三成は迷わずそこへと向かう。