イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第16章 熱情 後編〈石田三成〉
そこまで話し終えて、杉谷と呼ばれる男は消え、トキジを裏切っていると思われる仲間も足音と共に、別の場所へ立ち去ったようだ。
まさか、こんな事実を知ってしまうとは夢にも思わなかったは、ただただ青褪めたまま動けずにいた。
(……トキジさんに教えなくちゃ。私が言っても、信じてもらえないかもしれないけど。それにこのままだと私は、更に別の場所へ拐われてしまう)
そう考えていると、部屋の外から足音と声が聞こえてきた。
さっきの男かと思い、一瞬ビクッと身体を震わせつつ、身構えていると……
「……どうした、お姫さん。怖い顔して。」
「トキ、ジ……」
襖を開けて中へ入って来たのは、トキジだった。その姿を見て、思わず安堵の息を漏らしてしまう。
その様子に、トキジは眉間に皺を寄せて口を開いた。
「何かあったのか?……留守番してた誰かに、文句でも言われたのか?」
「…………」
トキジの言葉に、さっき聞いたばかりの話を伝えなくてはと思うが、戸惑いと躊躇いで声が出ない。
すると、トキジはそのままズカズカと足早に歩み寄り、座っているの傍へ、屈んで膝をついた。
は真っ直ぐに注がれる視線から逃れようと俯きかけるが、トキジに顎を掴まれて、否応なく上向かされる。