イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第2章 意地悪な天使 〈石田三成〉
そう告げる三成に、家康は訝しんだ視線を向けながら「ふぅん」と答えた。
三成は軽く頭を下げてから、スッと静かに襖を閉め、宴会場を去っていく。
その微かな足音を聞きながら、家康は元居た席に腰を下ろし、酒を注ぐ事なく、ただ黙って盃を指先で弄ぶ。
胸の内に憂いと苛立ちを抱えて―――……
…………………………
…………
三成は今にも駆け出したい気持ちを必死に抑えながら、の部屋へ早足で向かっていた。
何故こんなにも己が焦っているのか、部屋へ行ったところで何と声を掛けたら良いのかも分からないが……
ただただ、込み上げてくる熱情に突き動かされて、の部屋へと急いだ。
その頃、の部屋では―――………
火照った顔のが、襖を少しだけ開けて、空に浮かんだ月を眺めていた。
今夜は三日月。まるで笑っているかのように、美しく弧を描いている。
はそんな美しい月を眺めながら、先程の家康の事を思い出していた。
いつも厳しく、その言葉にはトゲがあるのに……
今夜は驚く程に優しくて、部屋まで送ってくれている間も、ずっと手を繋いでくれていた。
が『家康、私……まだそこまで酔ってないよ』と、伝えても、家康は送ると言ってきかなかった。
そして、部屋に着いた後、別れ際にそっと囁かれた。
低く、甘い声音で―――………