イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第15章 熱情 中編〈石田三成〉
「今の……?というか、離して……っ」
「好きですけどってやつ。……好きって言えたら、少し離してやってもいいぜ」
「なっ!……い、言うわけないでしょ!」
「へー。じゃあ離してやらねぇし、饅頭もやらない」
「別にお饅頭なんていらないよ。……遊んでる子供達にあげたらいいじゃない。早く離してっ」
「それじゃつまんねーだろ?」
「もう!いい加減に……っ!?」
「じっとしてろ」
「トキ、ジ……さ……」
―――首筋に走る鈍い傷み。
少し離れた所から聞こえる、子供達の笑い声。
けれど、二人の居る場所は廃寺の裏手辺りで、ちょうど周りから死角になっていた。
が必死にトキジの胸を押し返そうとすると、大きく逞しい手を重ねられ、指を絡められて、土壁に縫い止められる。
じわりと熱くなってくる躰に焦りを感じながら、トキジに「やめて」と掠れる声で抗議する。
そんなに、トキジは微笑を浮かべて「やめない」と答えた。
「そんな潤んだ目で言われても説得力無ぇよ。……なんでだろうな。を見てると、堪らない気持ちになる」
「……っ」
「は、俺が思ってたお姫様と違い過ぎる。……離したくても、離してやれねぇ……」