イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第15章 熱情 中編〈石田三成〉
信長の申し出に、その場の空気がピリッと張り詰める。
そして、その場に居る全員が、その意図を察した。
三成は拳を白む程強く握り締めた後、ふっと身体の力を抜き、左右に軽く首を振る。
「いえ。……必ずや頭を生け捕りにし、連れて参ります」
「そうか。……本当に俺自ら出向いても良かったんだがな」
「?」
「任せたぞ、三成。はこの俺に幸運を運んでくる縁起物。必ず無事に救いだせ」
「はっ!」
そうして作戦会議が終わるや否や、三成は直ぐ様立ち上がり、足早に広間を後にした。奪還の為の準備に取り掛かる為に。
広間に残った武将達の内、光秀が小さく笑って口を開く。
「信長様もお人が悪い。……何故あのように、けしかけるような真似を?三成があのまま乗ってきたら、どうするおつもりだったのです」
そう問われて、信長は静かに立ち上がりながら、光秀に答えた。
「乗ってきたなら、実際に出向くまでだ。この俺が直々に奴等を殺してやる。だが……」
「…………」
「そうしてしまったら、最後に後悔するのは三成自身だろう。……俺からすれば、どちらでも構わんがな。どうせ全員殺す事に変わりはない」
「……確かに」