イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第14章 熱情 前編〈石田三成〉
「はい。様を返して欲しくば、3日後に指定の場所で金を渡せと、この文に……」
三成から文を受け取り、信長が目を通す。そして、しばらくの沈黙の後、口火を切った。
「成程な。……ただの賊にしては綺麗な字だ。元はどこぞの武家の出だろう」
「!」
「信長様!それでは、を拐った賊達は……」
「十中八九、この俺に潰された奴等だろうな」
信長の言葉に、武将達の顔色から焦燥が浮かぶ。
彼等には分かっているからだ。恨みによる報復ならば、敵はどんな残酷な手も厭わないと。
家康が眉間に皺を寄せながら、「時間がありませんね」と告げた。
だが、他の武将達と違い、上座に座る信長は微笑を浮かべている。
その視線は三成に向けられていて、三成もそれに応えるように、目を逸らさず見つめ返す。