イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第14章 熱情 前編〈石田三成〉
一方、山にある廃寺では――……
が腹の苦痛に耐えていると、部屋の外から足音が聞こえてきた。
見た目にも古い寺。床がキシキシと音を立てる。
ガタッと、ボロボロの襖を開けて、男が1人部屋に入ってきた。
その手には、握り飯を乗せた盆を持っている。
「目ぇ覚めたのか。食えるか?飯を持ってきてやったぞ」
「……っ!……その声……貴方、賊の頭?」
の言葉に、男はニヤリと口角をあげて答える。
「よく声を覚えてたな。そう、俺が頭だ」
「……随分、若いのね」
「何でも若い方がいいだろ。……お前は大事な金ヅルだ。水もある。飯食えよ。……まぁ、お姫さんからしたら飯とは言えねーか」
「え?」
「豪華な飯ばかり食ってんだろ?握り飯なんて知らねーんじゃねーの?」
「……握り飯は立派なご飯でしょ。馬鹿にしないでくれる?」
「あ?」
「…っ!い、いえ、あの……貴方が普通に話してくるから……じゃなくて!……握り飯くらい知ってます」
「…………」
思わず普通に答えてしまい、今更になって相手を怒らせてしまったらと、焦る。
すると突然、賊の頭はぷっと吹き出して、笑い声を上げた。
その様子に、はキョトンとした表情で瞳を瞬かせる。