イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第14章 熱情 前編〈石田三成〉
痛みに顔を歪めるを見て、三成の顔が青褪めていく。
数人に足止めされ、賊の頭がを連れていくのを止める事が出来ず、三成は必死にの名を呼んだ。
「……待てっ!……様!様!」
「三成く……ん……」
「手前ら!行くぞ!」
賊達が素早く三成から距離をとり、馬に跨がって去っていく。
三成は受けた傷から血が流れている事にも気付かず、声を張り上げた。
「様っ!!」
やがて賊達の姿が見えなくなり、土埃が収まってきた後、地面に織田信長宛の文が落ちている事に気付く。
三成はその文をパラリと開き、目を通して、ギリッと唇を噛み締める。
書いてあったのは、 を返して欲しければ金を用意しろという内容。
奴等の狙いは最初からだったのだ。が織田家ゆかりの姫で、織田軍武将達の気に入りだという事を、奴等は知っていたのだ。
三成の瞳に、怒りが宿る。
「……すぐに、迎えに行きます。例え、どんな事をしても……必ず……っ!」
静かに迸る殺気。
三成は生まれて初めて、誰かを、心の底から殺してやりたいと憎んだ。
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