イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第14章 熱情 前編〈石田三成〉
遠く遠くで聞こえていた音が、意識が覚醒していくに連れ、だんだんと近くで聞こえてくる。
川のせせらぎ、鳥の声、風の音。
薄らと瞳を開けると、見慣れない天井が見えた。
ここはどこかの山の廃寺。
近くに川があるようだ。はゆっくりと上体を起こし、辺りを見回す。
「ここは何処?どうして、私……」
そう考えた瞬間、身体に走った痛みで思わず顔を歪ませる。身体をくの時に曲げ、お腹をぎゅっと押さえたまま、は全てを思い出した。
「そうだ。私、三成くんと出掛けて……帰りに、賊に襲われたんだ…っ」
……………………
………
と三成は、用事があって城下町を訪れていた。
その帰り、町の外れにある茶屋へ寄った後、2人はすぐに男達に囲まれた。
十数人程に囲まれ、を守りながら戦っていた三成も、全ての敵を捌ききれず―――
一瞬の隙に、は捕まってしまった。
それを確認して、賊の頭らしき男が、すぐに仲間達へ「引くぞ!」と命令する。
「この女さえ手に入ればいい。その男は放っておけ!どうせ馬には追い付けないっ!」
その言葉と同時に、身体に鈍い痛みが走った。抵抗されたら面倒だと思ったのだろう。賊の頭は躊躇いもなく、の腹に一発拳を入れた。
「いっ……!」