イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第11章 消せない熱 続編 第五幕〈徳川家康〉
「家康……」
に名を呼ばれて、家康は視線を上げる。
ナンパ男達を倒してしまう間、は終始無言だった。あまりに一瞬の出来事だったというせいもあるが、家康を見つけた事で、胸が痛すぎて何も言えなくなってしまっていたのだ。
名前を呼ぶ声も、やっとの事で絞り出せた。
家康は、ほんの少しだけ眉根を寄せて、ゆっくりとの傍へ歩み寄る。
男に掴まれていた方の手首をそっと引き寄せて、優しく唇で触れた。
「……っ!」
の顔色が、みるみる真っ赤に染まっていく。
そうして、一気に熱いものが込み上げて来て、の瞳からボロボロと大粒の涙が溢れた。
「消えちゃったかと……思った」
「……ごめん」
「目が覚めたら、家康が……何処にも、居なくて……」
「……ごめん」
「散歩かもって、思っ……だけど……」
「……」
「全然……どこにも……居なくてっ」
「」
「いえやすっ!家康、家康っ!」
「……っ。本当にごめん。今回は全部、俺が悪い」
が家康の胸に飛び込むと、家康はそのまま強く強く、ぎゅっとを抱きしめた。