イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第11章 消せない熱 続編 第五幕〈徳川家康〉
の細い手首が掴まれたのを見た瞬間、家康は、ここが現代である事を忘れた。
「いてぇっ!!」
それは一瞬の出来事だった。
に触れる男の手を、流れるような動作で締め上げて、男の背の方にギリッと回し、その状態のまま膝裏を鋭く蹴って、その場へ崩れさせたのだ。
「なっ……何だよお前!この野郎!」
突然の事に動揺しつつも、もう一人の男が家康に殴りかかろうと腕を振り上げた。
しかし、それは不発に終わる。
家康は空いている方の腕で、向かって来た男の鳩尾に肘打ちを食らわせ、顔色ひとつ変えないまま倒してしまったからだ。
手加減しなかった為に、肘打ちを食らった男は倒れ込みながら呼吸困難に陥ってしまっている。
家康に片腕を締め上げられたままの男は、友人のその様子を見て、一気に青褪めた。
既に自分にもかなりの痛みがあるが、これから更なる苦痛が待っているのではないかと、恐怖を感じたからだ。
「……勝手にその子に触れないでくれる?分かったら、さっさとオトモダチを連れて此処から消えろ」
「ひぃぃっ!す、すみませんでしたっ!!」
ゼェゼェと苦し気な呼吸を繰り返す友人を担ぎ、男はヨロヨロと夜の街に消えていった。
締め上げられた腕や蹴られた足もかなり痛いだろうが、動ける位に家康が手加減していたのだ。
この手加減は優しさからではない。
どちらも動けなくしてしまっては、いつまでも視界に入ってうざったいと思ったが故の手加減だった。