イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第11章 消せない熱 続編 第五幕〈徳川家康〉
今度は進んでいく展開の早さに、嵐のようだと思った。
返された鍵と、自分が写っている紙。家康は怒りを忘れて、その紙に、アメリアの言葉に、目を丸くさせていた。
そして、去って行こうとしていたアメリアが突然踵を返し、再び家康の方へツカツカと戻って来る。
「連絡用に社用のスマホを渡しておくわ。今時スマホを持ってないなんて、まるで化石ね。でも、そういう所も私は結構好きよ。はい、これ。じゃあ本当にまたね」
「……」
渡すだけ渡し、言いたい事だけを言って、彼女―アメリアは今度こそ本当に去って行った。
家康は渡されたスマホをまじまじと見詰めていたが、ハッと我に返り、その場から走り出す。
――早く早く帰らねば。
地下のスタジオからエレベーターで上へ昇り、オフィスビルの玄関まで一直線に向かうと、外はもう真っ暗だった。
「……っ」
家康は息を切らせながら、全速力で走り抜ける。幸いにも、この一週間昼夜問わず、ちょこちょこ外へ出ていた為、夜の街にも少し慣れてきていたし、この時代の夜は驚くほどに明るい。
だから足元を気にせず走れた。
行きの時、乗る事に少しだけ抵抗があった電車も、帰りは何の躊躇いもなく飛び込めた。
速すぎると感じたスピードも、今はむしろ、もっと早く早く動いて欲しいと思った。