イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第10章 消せない熱 続編 第四幕〈徳川家康〉
(この時代の事はまだよく分からないけど、に養ってもらうなんて絶対に嫌だ。……は気にしないかもしれないけど、俺が嫌だ。余計な苦労や心配はかけたくない。)
――むしろ、俺が養う。
例え場所や時代、立場が違っても、そこは譲れなかった。
そうして昨日も稼ぎ口を探しながら町中を歩いていると、ある女に声を掛けられたのだ。
(芸能……何とかって言ってたけど、猿楽なら出来るし。違ったら違ったで、みたいに学べばいい。
もし危ない仕事なら、切り捨てればいいだけだし。……峰打ち、忘れないようにしなきゃ。)
現代では、簡単に人を殺してはいけない。
それは乱世でもそうだが、現代と戦国時代では、色々と価値観が違う。
その事を念頭に置き、家康は少しだけ口元を綻ばせた。
「……俺達の時代の犠牲も、無駄じゃなかったんだな。五百年先の世が、これだけ平和になるのなら……」
散っていった者達の事を思い、家康は茜色に染まり始めた天を、目を細めて仰いだ。
……………………
…………
まもなくして、名刺にあった住所へと辿り着く。
家康は呆気にとられた。
目の前に聳える高い高い硝子張りのオフィスビル。玄関と思われる入り口も硝子張りで、家康はしばし立ち止まった。