イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第9章 消せない熱 続編 第三幕〈徳川家康〉
家康の心音に耳を傾けながら、その確かな温もりを感じていると、より一層自分を抱く手に力が籠められた。
「家康……?」
「ちゃんと俺に掴まってなよ。転ばれたら困るし。それに……」
「なに?」
「……あんたが他の男と密着するのは我慢出来ない。この乗り物は凄いと思うけど、俺が居ない時は絶対に乗らないで。」
「……っ」
家康のやや不機嫌そうな声さえ、の胸をキュンと切なくさせる。
胸の内で何度も何度も繰り返し想った。
(好きっ。……好きだよ。好き。家康が、大好き。離れなくて、本当に良かった……っ)
目の奥が熱くなる。
……悲しい訳じゃない。
ただただ切ないくらいに、家康への想いが溢れてきた。
けれど、唇をきつく結んで、ぐっと抑える。
(急に泣きそうになるなんて……。家康が心配するかもしれないし、今は家康の方が心細い筈なんだから、絶対泣かない…!)
ぎゅっと家康の服を掴み、そのまま目的の駅まで、は何もしゃべらなかった。
家康も、が何かを抑えている事には何となく気付いていたが、この場では何も聞かない事にして、口を噤んだ。
何より、切なげなの表情を、他の誰にも見せたくなくて……