第8章 仮面
「俺も、センセーとナイショのことしたいんやけど?」
そう言われ、唇は生暖かい感触に包まれた。すぐにキスをされたことは察し、忍足くんの舌がねっとりと動くのを感じる。グッと体は近づき、思わず両手で押しのけようとするがなかなか力が入らず無駄な抵抗となった。
唇を離される。俺も・・・って?ナイショのことって何?恐怖と不安で、震える体を自分で抱きながら見上げると、先ほどと同じように、なぁ、昨日のことは黙っとく。だから俺のも良くシてくれへん?と言った。
やっぱり、しないとみんなにバラすってことなのかしら・・・
「・・・し、しなかった、ら・・・?」
「シてくれへんの?」
「だって・・・」
好きでもない人と、できることではない。そう言いかけて気がついた。
私、芥川くんのこと、好き・・・なんだ・・・。
生徒と教師の壁は大きくて、どこかで受け入れられない、受け入れてはいけない感情、それが芥川くんに対する“好き”だったことに気がついた。
何も今じゃなくても・・・
押し黙っていると、おもむろにベルトを外し、そこから熱を帯びた自身を取り出した。
「ちょっ、何して・・・」
「嫌なんやろ?じゃ、見ててくれへん?」
側の椅子に腰掛けて自信を掴んだ手をゆっくりと扱くと、忍足くんの口からも色っぽい声が溢れていた。