• テキストサイズ

ひみつ

第8章 仮面



「おねが・・・い・・・忍足くん・・・言わないで・・・」


このままずっとこちらを見ないつもりかと思っていた顔が、やっと俺を見る。言わないでと懇願するその顔には、目に涙を貯め、溢れさせていた。
スっと眼鏡を外してやり目元の涙を拭う。素顔は先程よりもか弱く、そして幼かった。


「泣かんで・・・言わへんから。な?」


そっと頬を撫でると不安げに、本当・・・?と尋ねる。女の涙に弱かったんか?“どうでもいい”が、どうでもいいではなくなるように、何かが弾ける。


「ほんまに。でも・・・」


「で、も・・・?」


「俺も、センセーとナイショのことしたいんやけど?」



俺って実はこうやってイジメるん楽しむタイプなんやろか?好きな子ほど・・・とは言うが、まぁ、好きとかの感情はまだようわからんけど。
返事を待たずに、そっと唇を重ね、舌先で唇を舐めてやると、んっと甘い声が漏れる。キスをしながら体を寄せると、俺の胸を押し名ばかりの抵抗をするが、そんなん、煽ってるだけちゃう?腕に収まるほどの体をビクッと震わせている。唇を離せば酸素を求めてハァハァと息は荒く、怯えるような顔でこちらを見ていた。



「なぁ、昨日のことは黙っとく。だから俺のも良くシてくれへん?」


もう一度尋ねる。黙っとくからなんて卑怯かもしれんけどな。


「・・・し、しなかった、ら・・・?」


「シてくれへんの?」


「だって・・・」
/ 59ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp